こんにちは。サンハウジング設計部、瀬川です。
最近、大工さんが使っている道具で気になったものがあったので、ご紹介します。
尺杖といいます。
墨出しの際に使用されていた尺杖には、メートルメモリと尺相当メモリが記載されていました。今、関西間の古いお家のリノベーションをしているのですが、現場で大工さんが、『1尺6寸2分5厘』と尺単位でおっしゃるので、メートル単位に慣れている私にとって、尺では一瞬サイズ感覚がわからず、現場で『??』となってしまいます。
建築現場では、尺貫法とメートル法とあり、昔ながらの大工さんは尺単位を使用されます。ちょっとまだまだ慣れないですが、少しずつ慣れていきたいと思います。
ではでは、本題へ。
先日、永大産業 大阪デザインファクトリーへ伺ったので、今回は、室内建具の選び方についてお話ししたいと思います。
お家の中で床、壁、天井に次いでお部屋のイメージを左右するのが建具です。
床材に合わせて同じ木調の建具を合わせるのか、壁に合わせて白い建具にするのか、
それとも色やデザインでアクセントにするのか、どんな建具を選ぶかによって室内の雰囲気はずいぶんと違ってきます。
お打ち合わせの中でも悩まれるアイテムのひとつ『建具選びについて』、少し知っておくと役立つ、建具の種類や機能、選び方のポイントをご紹介したいと思います。
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まずはじめに。
建具にはいろんな種類があります。例えば、引き戸と言っても1枚の引戸もあれば2枚、3枚の引き戸もあり、その使い方やメリットはかなり変わってきます。そのため、ただ出入り口に扉が必要だからと何気なく建具をつけるよりも、それぞれの用途に合わせて建具を選んだ方が、より住みやすいお家づくりができると言えます。お家の住みやすさに影響する建具ですが、建具は選択肢が多いので「どういった建具にすれば使い勝手がいいんだろ?」「どんな色やデザインの建具を選べば部屋に合うの?」と、悩まれる方が意外と多いです。まず、代表的な建具の種類、メリットとデメリットをご紹介したいと思います。
建具の種類について
建具の種類は開き方で分けられており、大きく分けて、開き戸と引き戸があります。
開き戸は、一般的に「ドア」と言われるもので、引き戸は、戸を横にスライドさせるもので、引き戸のバリエーションとして引き違い戸や引き込み戸があります。
開き戸
室内ドアといえば、一般的に開き戸が多く採用されています。
【メリット】
・気密性が高く、音やニオイが漏れにくい
・少ないスペースで取り付けられる
・スイッチやコンセントなど取付け可能な壁が増える
【デメリット】
・ドアを開閉する軌道には物が置けないため、デッドスペースができる
・気密性が高い分、家全体の風通しを考えておく必要がある
・物をよく運ぶ動線上では、引いて開ける場合、一手間必要になってしまう
*少ないスペースで取付けできます
スペースが限られている場所では開き戸を採用するケースが多く、引き戸に比べて音が漏れにくいため、寝室や各洋室などプライバシーを重視したい場所に開き戸を選ぶとよいでしょう。また、ドアの場所によって、内開きか外開きか、右開きか左開きかをしっかりと考えておかないとドアを開けたら廊下を歩いている人にぶつかる、といったことが起こってしまいます。また、開いたドアに照明スイッチが隠れてしまうことがないよう動線を確認し、検討することも大切です。
引き戸
最近、ご要望される方が多くなってきているのが、引き戸です。
【メリット】
・開け閉めがしやすく、スペースを有効活用しやすい
・開け放しておけるため、家の中の風通しも効果的
・扉を横にスライドするだけでいいので、高齢者や子供も扱いやすい(バリアフリー)
【デメリット】
・壁に収納するスペースが必要
・開き戸に比べて気密性が低く、音が漏れやすい
・壁が少なくなるため、建具の位置やスイッチをつける場所など工夫が必要
開き戸の場合、基本的には開けるか閉めるかどちらかになるのに対して、引き戸は途中まで開けておくことができ、風通しなど使用状況に応じて調節できるメリットがあります。ただ、引き戸の場合、引き込む側の壁が必要となり、スイッチやコンセントを設ける壁が少なくなるので、間取りの計画時に注意が必要です。
*キッチン横のパントリーやランドリールームなど出入りが多い場所には、引き戸がおすすめ
*ブルーの引き戸の奥は、ランドリールーム
引き戸には、床にレールやレールの溝がある標準タイプと上部にレールを取付け、戸を吊るし開閉する上吊りタイプとあります。上吊りタイプは、床にレールの溝がないため、段差がなく、溝に埃がたまる心配が少ないです。そのため、レールタイプに対して少しコストアップにはなりますが使い勝手を考慮し、サンハウジングでは、上吊りタイプをおすすめさせて頂いています。
その他、引き戸のバリエーションとして人気なのが、間仕切り戸として、戸を全て壁に収納する引き込み戸です。戸を全て引き込んでしまえば部屋と部屋が一体的に感じられるので、開放感を出したい時に最適です。
折れ戸
主に、収納用建具として採用するケースが一般的です。
【メリット】
・クローゼットに使用した場合、全体を大きく開けて出し入れができる
・いろいろな大きさ、間取りに合わせて対応できる
【デメリット】
・部屋の内側に折れてくるので開けるためのある程度の広さやスペースが必要
・寝室や洋室などで使用する場合、ベッドなど家具を置いた時に干渉しないよう注意
・窓やカーテンレールなどの干渉にも注意が必要
*全体を大きく開けて出し入れできます
*扉を開けるためのスペースの確保が難しい場合は、3枚連動タイプの建具もおすすめ
機能性から建具を検討する
部屋の出入り口を開閉するのが建具の機能ですが、同時に考えたいのが、換気や風通し、採光、音に関する機能です。
換気、風通し
家全体の換気、風通しのためには、部屋と部屋を仕切る建具を開け放しておく必要があります。引き戸ならそのまま開けておく、開き戸の場合は、開けた戸を固定しておくためにドアストッパーが必要となります。間取り計画の際、風が抜ける通り道を確認し、戸を開けておく方法をあらかじめ検討しておくとよいでしょう。
採光
戸を閉めていても光を通したい場合、戸にガラスやアクリル板など用いたデザインのものを選ぶこともおすすめです。トイレなど中に人がいるかどうか知りたい場所では、明かり窓など戸の一部に光が漏れる部分を作っておくことが一般的です。
光をどのくらい通したいのか?も、建具のデザインを考える時に考慮することも大切です。
音やニオイ
一般的に、開き戸の方が引き戸より気密性が高いため音やニオイが漏れにくいとされています。家族構成や人によっても音に対して気になる度合いも違うので、もし、気になる方は、間取りを考える段階から設計士に伝えておくとよいでしょう。
また、吹き抜けを設ける場合、音やニオイが気になるのでは?と心配される方も多いため、そのような場合は、各洋室は開き戸にしておくこともおすすめです。
選び方のポイント
デザイン
リビングドアには、アクセントとなるデザインのあるものをおすすめしています。
施工事例のようにガラスが入っているものや、框タイプのものなどデザインはさまざまです。
ガラスが入っているものは、明るく開放的で、家族の出入りがわかるので、採用されるケースが多いです。
色
床材の色味に合わせた建具を選んだり、アクセントとなる色を選び目立たさせたり、色味によっても部屋の印象を大きく左右します。
木目調建具の場合
床材の色味に合わせた建具を選ぶと温かみがあり、広がりのある空間となります。
アクセントカラーが映える建具の場合
建具がアクセントとなり、メリハリのあるかっこいい空間となります。
ホワイトの建具は、明るい床材と相性が良く、明るく柔らかい印象となります。
まとめ
建具はいろいろな種類がありますが、それぞれの建具に特性があるので、その特性を生かした建具をうまく配置していきたいですね。また、建具は意外とお部屋の印象に大きく左右します。そのため、インテリアに合わせて建具を目立たせるのか、それとも存在感を消すのか、考慮しながら建具のデザインや色を選ぶことが大切になってきます。
間取りの打合せをしている方や、これから家を建てるという方はぜひ参考にしてください。建具がうまくアクセントになったお家づくりをしていきたいですね。